つながる*noyama

南アルプス 仙塩尾根を歩く ⅳ

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南アルプスの大自然、
存分に満喫しております!













野呂川越の標高がおよそ2300m、三峰岳の標高は2999mだから
ざっくりと約700m登り返すことになる。
この登り返す時の指針となるものが大倉から塔ノ岳への標高差の約1200m。
それと比較して大幅に下回ると 楽だー!となり、
標高差がそれ以上あると、こりゃ大変だぞ!ってことになるわけだ。


野呂川越から約700m。CTは3時間。
テント泊装備だけど、700mならなんとか。な標高差である。
延々と続く樹林帯。チラチラ見え隠れする空は灰色一色となっていた。


野呂川越から3時間経過し、やっと尾根に出た。
つまりはCTよりだいぶ遅れているということだ。




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空模様が断然怪しい。
雨が降るのも時間の問題だろう。
風が急に冷たくなった気がした。
イヤな予感しかない、、、。




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14:52 三峰岳


三峰岳まであと少しのところからポツポツと降り始めた。
すぐ止むとは到底思えない空模様の為、上下レインウエアを着込み
三峰岳到着するころになると、いよいよ本降りになってきた。


熊ノ平小屋までは1時間半。
あとは下るだけだからもう少し早く着けるだろう。
その考えが甘いと悟ったのは降り始めてすぐだった。




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遠くで雷鳴。
まずい、ヤバイ、これは断然まずい。
急いで岩場の稜線を降りていく。
でも雨で濡れた岩場が滑りそうで怖い。
それでも岩場だけでも早く通過したいとできる限り慎重に且つ足早に。


稲光がはっきり見え出すとその恐ろしさったら言葉にはできないほどだ。
岩場の稜線上、あたりのどこよりも自分が一番高くなる。
雨もザーザー降りになってくる。

どうする?
しばらく様子みようか?
大きな岩の下に隠れてどうするか話し合う。
岩に隠れてるつもりでも、隠れてるのは頭だけで体はしっかりはみ出ている。
しかも岩に落ちることもあるわけだ。
サコッシュに付けていたmauveさんの雷鳥ピンバッチを手こずりながら外す。
小さなピンバッチ一個外したからって
他にも身の回りに金属いっぱいついてるのに
無駄な努力なのかもしれないけど、
そんな小さな努力をするほど、雷が恐ろしかった。




背を低くして取り敢えず先へ進もう。
岩場を抜けると隠れる場所がない台地になっていてる
ここでも自分たちが一番高い訳だからその先のハイマツ帯へと足早に通り過ぎようとしたら
農鳥岳方面への分岐につく。









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7年前、白峰三山を縦走した。
農鳥小屋から農鳥岳へ向かう途中、
西農鳥岳辺りから見えた森の中にぽつんと佇んでいる熊ノ平小屋を見て
いつかあそこに・・・・
と願っていた。そして今、その熊ノ平へ向かおうとしてることを思ったら
感慨深くてじぃぃぃんときた。
そんな私の胸の内を知ってか知らずか
夫が
ちょっと!早くここ抜けないと雷危ないでしょ!!

はいはいっ
ってな具合に急いで先に見えるハイマツ帯へと逃げ込む。


周りを何かで囲われ始めると不思議なもので、こんなにも安心するものなのか。
頭の上では相変わらず雷鳴が響き、雷光はあちこちで光っているけれど
三峰岳からの岩場で感じた恐怖はもうなくなっていた。



次第に岳樺の林へと入り、沢と化した登山道をどんどん下り
周りがマルバダケブキの群生地に入ると
熊ノ平小屋へやっと、やっと辿り着いた。



レイン着ててもずぶ濡れ。
歩かなくなった途端、体はどんどん冷えてくる。
今日こそ小屋泊まりでしょ!と思ったけど、昨日小屋に泊まっちゃったし
ずぶ濡れなのに、寒くてたまらないのにテント泊を申し込む。
そして今回の山旅でココへ来たら買おうと思っていたmauveの小屋バッチを購入。
熊ノ平小屋らしく、クマさんがモチーフの山バッチ。


受付終えて急いで設営して
乾いた衣類に着替えて体を温める為に寝袋に包まる。
30分ほどで寒さも和らいだので夕飯を作ることにした。
なにしろ、今朝もちゃんとしたご飯をたべてないし
持ってきた食材やら何やらが余り気味だし、明日はまた行程が長いから
出来るだけ軽くしていきたい。



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テントの前室でジュージュー焼きそば2人前。
夫にできたよーと言ったら
半人前しか取ろうとしない。
もうちょっと取ってよ。
と言うと、寒くて調子悪いから食べれないと言う。
昨日は高山病で今日は軽い低体温症??
お湯沸かしてほうじ茶を差し入れる。
明日、よくなってるといいけど・・・。


残りの焼きそばを一人で平らげたら、
食べ過ぎで今度はわたしが具合悪くなりそうだった。




am 2:30 起床


雨は止んだようだ。
でも疲れがとれてないようでなかなか起きれない。
今日は三伏峠小屋までだ。遅くても4時には出発しないと。
ダラダラとしてる内に出発時間がどんどん遅くなる。




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昨日はザーザー降りの中、小屋に着き
雨降りだから当然写真などは全く撮ってなかったのだ。

今朝は快晴!!
この上ない登山日和ではないか!
ちょっとだけ!小屋の写真撮りたい。
チャチャッと気になるものだけレンズに収めて、はい!お待たせしました!


小屋を出発して森の中を緩く登り森を抜けて東を見ると、
昨日歩いてきた三峰岳。そしてその奥には間ノ岳。





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小屋を出て30分ほどで尾根に出るのだが
振り返って見た景色と塩見岳へ繋ぐ山々の美しいこと!
そして空の青いこと!




それからまた樹林帯へ入り(兎にも角にも樹林帯が多い)
一時間半ほど歩くと竜尾見晴につく。





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竜尾見晴までくれば塩見岳もいよいよ大きく
その圧倒的な存在感はさすがの一言である。


ここから北荒川岳まで樹林帯を歩くのだが
そこまでの樹林帯が素晴らしく美しいのである。
岳樺や広葉樹の森、足元にはバイケイソウの群落地(もう葉っぱだけだったけど)
もうその美しさったら、こんな素晴らしい樹林帯を今まで歩いたことがない。
ここでテント張れたらどんなに気持ちがいいんだろう。




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歩くこと約2時間弱、
北荒川岳に到着




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東西見れば青空、歩いてきた道を振り返っても青空
でも
これから進む先の空はどんより灰色の雲で覆われている。



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振り返れば青空なのに・・・。





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これから進む塩見岳の
このラスボス感たるや半端ない…。




つづく…。



※写真は私のフィルムカメラとiphone、夫が撮ったデジタルと織り混ざっています。



by mt_kawamin | 2019-09-15 21:56 | 山登り