谷川連峰 プチ馬蹄形縦走 -part5-

茂倉岳から朝露に光る笹原のど真ん中を
埋もれながら高度を下げていく
笹平と呼ばれる最低鞍部から
小ピークを登り返すと
いよいよ という感じで
目の前には渦を巻くような稜線が延びていた
山肌はたくさんのミドリ色で埋め尽くされ
その美しさは遠くから眺めているだけでも
手に取るようにわかるのである。
先へ進みたい
まだ進みたくない
少し進んでは立ち止まり
この風景の中に溶けてしまいたくて
いつもの何倍も時間をかけて歩んでいく。
今ここで見た風景を
深く心に刻みながら…。

武能トルネードと呼ばれるこの美しい渦巻く稜線に自ら飛び込んで緑と花の渦に巻かれていく。


花に埋もれるようにして
武能岳の頂へと歩んでいく



振り向けば茂倉から歩んできたトレイルが軌跡のように刻まれている


あっ…
青空だよ
武能岳へ進む道と
歩んできた
茂倉からの道
ずっと心の奥底にあった
ズキズキと鈍い痛みを持つ古傷のようなものは
しらぬ間になくなっていた。
どんなに腕のいいDrよりも
山の方が腕がいいらしい。
今、ここにいることの幸せだけを素直に喜んでいた。
武能岳のピークまで
あと一登り
夏空が行く先に広がっている
気まぐれな夏の太陽も
いよいよ私達の味方をする気になったのか
眩しい光を放ち始めた。

am 9:25 武能岳


武能岳から見下ろす蓬峠へのトレイルがその全貌がドーーーンと視界に入ってきて最早わたしの貧困なボキャブラリーでは到底表現出来ないほどのそれは美しい風景が目の前に広がっていた。
これが奇跡といわれる稜線なんだ。

by mt_kawamin
| 2016-08-19 19:05
| 山登り
|
Comments(0)