つながる*noyama

初冬の頃に -part 4- 蝶ヶ岳


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不思議なもので一度気になると
聞こえてくる音の主がなんなのか知りたくなってくる
姿のない人の話し声だったら余計に震え上がるんだろうけれど
でも、わからないままがどうしても嫌で
そっと耳を澄ませてなんの音なのか?声なのか?確かめてみた。
壁に耳を当ててみたりして・・・






・・・・


結局のところはよくわからなくて
雪解けの水がドレインを通る時の音みたいだけれど
考えても答えが出ないし、出ない答えを気にしてることがバカバカしくなって
ま、いっか。
その内その音がなんなのか、どうでもよくなった。





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時間は午後4時45分
漆黒の闇に閉ざされる時間もそう遠くはない。
穂高に陽が沈むのを撮るつもりだったけれど
小屋の外に出た時には太陽は既に穂高の向こう側へと落ちた後だった
月が美ヶ原の上にぼんやりと光っていた。




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人がいないというのはこんなに静かなものなんだろうか
それは単に人の喋る声が聞こえないとか人の気配が無いということだけではなくて
山そのものも
瞼を閉じてじっとそこに佇んでいるだけのように感じるのである。
まるで眠っているように。







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一人で山にいる時は、大抵本を読んでいる。
いつもなら無心に読み進めるけれど、
今日ばかりは同じ行をなんども読んだりして中々先へ進めない。
これだけ広い空間に一人でいるっていうのは落ち着かないものだ。
手持ち無沙汰だからか、温かいミルクティーを2回もお代わりして飲んだ。




17時半を過ぎてやっと夕ご飯の支度を始める
いつものテント泊ならご飯はとっくに終わって寝る準備をしている頃だ。
それなのに今日はまだお腹すら空いていない。
けれど、身体を温める為にも身体を早く休める為にも早く食べなくちゃ
肉まんを温めて、ドライフードの味噌汁を作る。


フゥフゥ
熱い味噌汁を啜り
湯気を上げる肉まんをハフハフ言いながら頬張る。
一人っきりだけど、なんだかとっても幸せな気分になるよ。
あったかいって幸せになる大切なことなんだって改めて知る
風に揺らされ大きな音を立てる磨りガラスの窓をボーッと見つめながら
二つ目の肉まんを頬張った。




今夜はsuper moon前夜。
輝く月を撮るには
あまりにも風は強く、あまりにも寒さは厳しかった。
そして
ひどく疲れている筈なのに
この日ばかりは中々寝付けなかった。


・・・・
    
    ・・・・




11/14 mon



目覚めは4時過ぎ
当たり前だが外はまだ真っ暗だ
風の唸るような音は変わらなかった。
外に出て空の様子も見たかったけれど
冬季小屋から外に出るのが面倒くさい。
どれだけ面倒くさがりなんだ?と言われそうだけど
屈みながら細い通路を出口まで行くのが中々面倒なのだ。
素晴らしい景色が約束されていれば 喜んで外へ出るけれど
この日は悪天予報で、期待できるものではなかったから尚更だった。


寝袋の中でぬくぬくしながら朝を待ち
5時半になり衣類を整えてやっと外へ。
冷気に縛られるほどの寒さの日の出前は
街の灯りがキラキラ綺麗だった。



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空を覆う厚い雲と連なる山々の隙間が紅く滲んでいく





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夜明けと共に
空と山との境界が鴇色に滲む時間になると
幾重にも重なる蒼い山波の間と街を包み込むように
ミルク色の雲海が静かに広がっていた。


初冬を迎えた北アルプスに朝がきた。



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鴇色に染まっていく東の空とは打って変わって
反対の西側の空は余りにも暗く沈んでいる
それでも、もしかしたらこの強風で雲も飛ばされるんじゃない?
という一縷の望みをもって30分程頑張ってみたけれど
上下ダウンを着て、ハードシェルをその上に着ていてもさすがに限界
もういいよね。これで充分だよね。





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昨日Aさんと別れたあと、
空腹に耐え切れずに食べてしまったマフィンの残りが今朝のご飯である。
朝はマフィンも一個で足りるだろうと一個だけ持ってくるつもりだったが
袋から出すのが面倒で二個持ってきていた
面倒くさがりが功を奏し、朝ごはんにありつけることになった。笑
マフィンにチーズとハムを挟んだサンドウィッチとスープの簡単な朝ごはん。
そのあと味噌汁、ミルクティーと飲んで身体を温めておく
帰りたくないせいなのか、パッキングは中々はかどらない。
8時近くになりいよいよ重い腰をあげる




お世話になった小屋の中を掃除して
来た時よりも綺麗にする


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ホントにホントにお世話になりました。





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灰色の空はその色を益々重く暗い色にして
今にも真っ白な雪を降らしそうだ。
帰りたくないけど、
帰らなくちゃ




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下る時はあっという間に高度が下がっていくけれど
あと少しで見えなくなってしまうだろう雪の感触を楽しみながら下りていく。




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真っ白だった登山道も
次第に岩が顔を覗かせ、茶色の土が見えるようになり
まめうち平に着くと雪はすっかりなくなった。




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蝶ヶ岳からフワフワの雪を
ギュッギュッと音を楽しみながら歩いていた
2000mを切ると、その音はザクッザクッと変わり
次第に冬の湿った音は消えていく。
松葉の絨毯は柔らかくて
その音は次第に乾いた落ち葉を蹴散らす音に変わっていった。
冬の音から晩秋の音へ逆回転。
誰にも会わない登山道から駐車場までやっと着いてみると
ポツンと愛車が待っているだけだった。



ひどく寂しげな風景に見えるけれど
心はとっても満ち足りていた。
反省することはたくさんあったけれど
この季節に一人で来て良かったと心から思っている
ほんわかした気持ちになっていた。





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次はみんなの笑い声が聞こえる季節に
雪解けの頃に逢いに来よう
そう誓いながら駐車場を後にした。





おしまい…*





by mt_kawamin | 2017-01-13 19:00 | 山登り | Comments(9)
Commented by pallet-sorairo at 2017-01-13 19:29
この季節にひとりって…
ちょっとはらはらしながら読みました。
ご家族、心配なさったのではありませんか
…って、文字通りの老婆心(^^;
余計なお世話でごめんなさい。
Commented by zbjsower at 2017-01-13 20:08
ソロでの山行は、自由気ままに出来て好きなのですが、私には経験不足なので、とてもこんな登山は出来そうもありません;;
そしてかなり心細さが伝わって来ました。
なにより、食糧が十分に無かった事がかなりの痛手ですよね><
しかし、素晴らしく心に残る景色を堪能出来たのは、うらやましいです。

ところで、出来たら参考にさせてもらいたいのですが・・kawaminさんは登山の時はどんなレンズを持って行ってるのでしょうか?
Commented by mt_kawamin at 2017-01-13 20:41
*palletさん

ね、本当に心配しますよね。汗
家族には出発する時までブツブツ言われましたが
一番は「熊は大丈夫なのか」でした。
これは私も一番の気がかりだったことですが
営業小屋が無くても、この時はまだ上高地へのバス便がまだあったので(徳沢、横尾は小屋閉め後)
日月という日程でも一人や二人位はテン泊いると思ってたんですよね。
そしたらみーんな日帰りでしたけど。汗
結果的に何事も無く無事に下山できましたが
日帰りならともかく、泊まりは危ないな〜というのが結論です。笑
次回はお友達誘って行くことにします(^^)
冬季小屋は中々快適でした♪
Commented by mt_kawamin at 2017-01-13 20:53
*Hideさん

山へ行く時、大抵は夫か友人と一緒なんですが
時々、無性に一人になりたくなることがあるんですよね
一人で山にいたいと思っちゃうんです。
ソロでは何度か歩いてますし、テント泊で縦走もしたことがあるんですが
営業小屋がない山へ一人でというのは今回が初めてで
色々な意味で大変でした。
水も二日分、食料も日程+1日分ほど必要ですし
それなのに行動食忘れてしまって、ソロ山行するなんて
とんでもない!と叱られますね汗。

で、ご質問ですが
私のカメラはOLYMPUSのEM5 MarkⅡという機種で
レンズは数本持っていますが
二日以上の縦走など、荷物が多い場合はズームレンズ1本です。
今使っているのはTAMRONの14-150mm(35㎜版換算で24-300)だけです。
二日以上でも尾瀬など、ふんわりした写真も撮りたいような場所へ行く時は
f1.8の明るい単焦点も持って行きます。
マイクロフォーサーズなので、交換レンズ持っていってもフルサイズやAPS-Cに比べると断然軽いのです。
参考になればいいんですが・・・マイクロフォーサーズなので
参考にならないかな?(´・_・`;)
Commented by mt_kawamin at 2017-01-13 20:55
*Hideさん 追伸

星空撮りたくて広角の単焦点を持って行くこともあります。
マイクロフォーサーズの単焦点レンズは小さくて
軽いんですよ〜(^^)
Commented by zbjsower at 2017-01-14 06:06
レンズの件ありがとうございます。

なるほど、結構望遠側を使っている印象があったのですが、高倍率ズームをお使いだったのですね~
確かにこのような縦走などでは、そんなにレンズを持っていけないのかもですね。
私は未だにどんなレンズ構成で登山に行こうか試行錯誤中な感じです。
フルサイズカメラなので、ボディもレンズも大きく重いのがネックですが、それでもやっぱりせっかくの絶景は出来る限り綺麗に残したいというのがあるんですよね・・・
Commented by mt_kawamin at 2017-01-14 07:52
*Hideさん

おはようございます☺︎
やはりフルサイズお使いでしたか!
フルとMFだと本体は勿論、レンズの重さも比較にならないですよね。
私の知り合いの何人かはやはりフルサイズ使っていて
山へもそのカメラを毎回持って行っているようです。
花にしても夜空にしても
フルサイズの写真の美しさは圧倒的で憧れます。
instagramなどの小さいサイズの写真ですと大差ない気はしますが
PCで大きくして見ると、やはりその違いは一目瞭然。
これはもう、頑張ってフルを持って行くしかないでしょう(笑)
山で何をメインにするかに依りカメラは決まると思っていて
私の場合は、「山を歩くのにストレスのないカメラ」
と言うのが選ぶ大前提でした。
勿論、懐も寂しいのでフルサイズは手が出ませんが(笑)
いいなぁ、フルサイズ♪
あ、私、フルサイズはフィルム狙ってます。ムフフ
山で素敵な写真撮って来てください(^o^)
待ってますね♡
Commented by ゆず at 2017-01-14 21:23 x
かわみんさんこんにちは♪

独り占めの山の時間は長いようであっという間に過ぎてしまいましたか。
ゆっくりと流れる時間の中で色んなことを想うことが出来ますね~♪

ちょっと怖いような気もしますけど、確かに一番怖いのは生きている人間かもですね!

でも私はお化け関係もちょっと怖いです。

山へ登ると色んな事を考えるけど不思議な事にネガティブなことはほとんど考えなくないですか?

こんな景色が目の前に広がれば下界で悩んでた事も山へ来るときっと上手くいくような気になれるのが不思議、自分の悩みなんて小さなことなんだなって思えてくる。

かわみんさんの写真を見て、元気もらっちゃいました。

今年も行くよ、待っていてね~♪

素敵なストーリーをありがとうございます。
Commented by mt_kawamin at 2017-01-17 07:53
*ゆずさん


1人でいる山の時間は長いようで短く
そして、マイペースに過ごす時間はこの上なく贅沢で至福の時間でしたよ♪
勝手に昼寝するのも午後のお茶の時間にするのも
穂高を眺めに行くのも
勝手気まま。自由で贅沢で。
けど、1人は誰にも頼れないし何かあった場合のリスクも大きいし
自由な分、追う責任も大きくなるから
決して大声でオススメすることは出来ないけれど
複数で行くよりも山が近く感じるのよね♡


オバケ関係は…そりゃわたしだっていやだよー嫌いだよー(笑)
冬季小屋は1人だとものすごく広くて
トイレへ続く向こうの部屋に何か見えたらどうしよう
とか考えるとキリなくて。けど他に行くところ無いし、諦めの境地!
出るなら出やがれーって(^^)

そう言えば山でネガテイブな考えってならないね。
1人だと色々な事が頭の中を巡るけれど
ネガティブな考えもその内どうでもよくなってくる気がするな
どーでもいっか(o´罒`o)
みたいに(笑)
だから最後には楽しくなっちゃって
また山へ来よう
って思うのかもね♡

ここに来て元気になって貰えてうれしいな
私もゆずさんのコメントで元気になりました♪
いつもありがとうね◡̈♡