つながる*noyama

天空の宿へ part2 -船窪小屋-


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船窪小屋  pm 12:59


ザックの重みから解放され
小屋の前庭にあるベンチに座ってホッと一息。

    お疲れ様でした〜


そう言いながら小屋番さんがお茶をすすめてくれた
温かいお茶は心も身体も緊張から解き放してくれる

よくよく考えてみれば
山小屋に着いてお茶を出してくれるなんて聞いたことがない。
いつもテント泊ばかりの私が声を大にして言えることではないが
数少ない小屋泊をした中で、着いてすぐお茶を出してくれた山小屋などは皆無だ。
大規模な山小屋ではあり得ない気遣いに、
心も顔もほころんでしまう















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相変わらず空は灰色一色だが
気まぐれな風が白いカーテンを引くと青空が覗き
その度にわたしたちは歓声を上げる


イケメン針ノ木岳がすぐ目の前にそびえたりしてて
見慣れた北アルプスとは違う風景に、
一瞬自分がどこにいるのか不明になったりして
なんども地図を見て確認したりしていた
お茶を飲んでホッと一息ついたところで



    ビール飲みますか



Hさんが前回ここへ上がってきた時に
今日の為に前もってビールを歩荷してくださっていたとかで
到着の乾杯をしましょうということになった
お隣に座っている 何度かここへ泊まったことがあると言っていた単独行のおじさまは



   ここのビールは冷たくないけどね



と笑って仰っていたが
設備の整った大型山小屋と違う船窪小屋で
ビールを頂けるだけでも有難いと思っていた。
しかも私のご贔屓なサッポロラガーとなればなんの文句もない



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     プシュ…
          ゴクゴクゴクッ




クゥゥゥゥ…五臓六腑に染み渡る
シュワシュワっと喉の奥に流れていくビールを心から味わう
その間にも針ノ木岳は見えたり隠れたり


   ワインも持ってきてます


とHさん。


   私も担いで来ました


とshimaちゃん、さすが二人とも抜かりはないな〜
ビールを飲み終えるや否や
Hさんが五一ワインを抜いてくださる
それに合うかどうかはわからなかったが
冷えてるうちに・・・と


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私が大事に持ってきた冷え冷えのレアチーズケーキと共に


北アルプスの山に囲まれながらワインを抜き
チーズケーキを楽しむ
こんな山の過ごし方も時には楽しいものだ






ひとしきり飲んで食べてお喋りして
部屋へ入る前に船窪小屋名物?
危険な水場に水を汲みに行こうということになった。
Hさんは勿論、小屋で使う為の水を汲みに行くというお仕事である。

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小屋から船窪岳方面へと進み
船窪小屋のテント場から船窪岳の分岐を右へ分けてグッと下りていく


実は小屋から出る時には既に体調が少しおかしかった。
更には進むにつれ、身体の変調は著しく悪くなるばかり
頭痛やめまい、ちょっとした吐き気も
寝不足や体調が悪い時、山へ入ると時々貧血を起こすことがあったが
いつもは少しすれば治るしと箍を括っていた



テン場を過ぎ、急な勾配へ差し掛かったところで
行かない方がいいかも。下りたら戻れなくなりそうだと感じた。



ここで待ってるから行ってきて


一人、その場にうずくまるようにして
3人が戻るのを待っていた。
その間にも吐き気をもよおし、でもこんなところで吐きたくないし
横になりたいけど、ここで寝るわけにもいかない
でも座っているのも辛い
登山者が通ったら病気だと思われてしまうから、
人が通る度に、まるで座って景色を眺めてる風に装った
その間も頭の中はズキズキ、クラクラ…気持ち悪さに耐えていた





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水場の様子
photo by Hiさん





だいぶ待ったろうか
3人が戻ってきて小屋へ戻るのだが歩くのも一苦労
心配をかけるのも悪いし…と、HさんとMちゃんには先に行ってもらうことにした


    高山病かもね


shimaちゃんに言われる。
高山病は今まで一度もなったことがない。
そう言えば、以前息子が北岳で高山病になり
昭和大学医学部北岳診療所でお世話になった時


   どんな人でも高山病にならない保証はない。



そう医師が言っていたのを思い出した。

休む?と聞かれたけれど、ここで休んでいても治る気がしなかった
そして歩かなくては小屋に帰れないし、無理してでも歩かなくてはと
重い足を前に進める



    効くかわからないけど飲んどけば?



shimaちゃんに薬を貰った
大した距離ではないのに小屋が遠い
途中、七倉岳への分岐でHさんとMちゃんは其方方面へ行ったらしいのを知り
shimaちゃんも山頂を踏みにいった
勿論わたしは分岐でお留守番である
3人が居ない間、一人悶々と考える


    あぁ…折角の小屋泊なのに
       気持ち悪くて夕飯食べれないだろうな




楽しみにしていた小屋のご飯を残すことになるかと思うと
少し憂鬱な気分になっていた。


10数分待つと3人が戻り
4人で小屋へと帰る
わたしは一人遅れてゆっくりと
そこからはもう小屋の青い屋根も見える、もうすぐそこだ




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小屋へ戻ると前庭で小屋番さんたちが忙しく働いていた
少し外で休憩していると


     今日の夕飯は2回戦です
     1回目は外、このテーブルで
     2回目は囲炉裏の周りで摂りますけど、どちらにします?



と小屋番さん
shimaちゃんもMちゃんも私も


      外がいいです!!!



虫も少なくなり、陽が長く
そしてまだ寒さを感じないこの時期だからこそ
外で食事が摂れるとのことだった。
いい時期にきたな、雨じゃなくてよかった。しみじみ思うのである。


      あれ?私ってばご飯食べる気満々??



気づいた時には気持ち悪さはすっかりなくなり、勿論頭痛もだ
そればかりかお腹が空いてグゥと鳴るほどにまで回復していた
よかった。心からそう思った。






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一品、また一品と運ばれてくる
この小さな小屋でこんなにも沢山の料理ができるのかと驚くほどだ。





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Hさんが仰るには、お煮しめはお母さんが具材ごとに炊いているとか
下界でならいざ知らず、この場所でそこまで丁寧に調理されてることを知り
そしてこの品々に感動すらする。





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天空のレストランで至福の時間





時折雲が切れて覗く太陽も、北アルプスの山々も
そして小屋番さんの笑顔もプライスレス!!






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食事が終わってからも私たちは外のテーブルでのんびりしていた



目まぐるしく変わっていく空の様子を眺めているだけでも癒される
改めて2回目?3回目の乾杯をしながら
暮れてゆく空と、その空間にいることを楽しんでいた。







      7時過ぎからお茶会が始まるので小屋の中へ行きましょう




Hさんに促され囲炉裏の周りへ


船窪小屋の食後のお茶会は毎日の恒例行事らしい
この日は宿泊客も多いせいか
囲炉裏を囲むように二重になって座る
ジンジャーティーの様な
少しスパイシーでほんのり甘みのあるお茶が振舞われ
お母さんのご挨拶のあと、お父さんが昔話をしてくださった


それはお父さんが大町高校の山岳部に所属していた何十年も前の話である
北アルプスを縦走中、
仲間が投げた石が雷鳥にあたり、その雷鳥が死んでしまった
そのままにするのもなんだし…ってことで食べることにしたそうな。
鳥だから美味しいと思ったのは大間違いで
ハイマツ臭くて食べれたものではなく
そのまま捨ててしまった、
と…朴訥とした語り口調で。笑

その話も語り口調も
クスっと笑えて心に明かりが灯る様な暖かさがあった。

※誤解をされては困るので念のために書いておくが、その頃の雷鳥は天然記念物ではなく
今の様に厳しく規制されていない年代だということを念頭において頂きたい。


お父さんのお話のあと、それぞれ自己紹介をし
DVDなどを観るのがいつものお茶会らしいが
今夜は違った
小屋の何十年来からの常連さんで大阪のMさんという方が来ており
アコーディオンを背負って山を歩いている
その方が今宵はアコーディオンを演奏してくれるとのことだった。




     写真撮影、録音はご遠慮ください


とのっけから周りの笑いを誘う口調はさすが関西人。
アコーディオン奏者というとcobaさんを思い出し
スペインやイタリアなどジプシーを彷彿させるメロディを想像していたが
それは全く違っていた




    ハウルの動く城から


そう言ってアコーディオンの鍵盤に指が添えられ
ワルツに乗って美しい旋律が奏でられていく
久石譲作曲の人生のメリーゴーランドだった


ランプの灯りの下
天空の宿で聴くからという理由もあるのだろうが
それはたちまち心の琴線に触れた
唇をキュッと噛み、上を向いたり斜めを向いたりして堪えても
あまりの感動で、たちまち涙が溢れそうになる
きっとここにいる全員の心にも響いてるに違いないと思った


それからもMさんの饒舌なMCとともに



チャイコフスキー作曲 アンダンテ・カンタービレ
映画 「パピヨン」からメインテーマ
男はつらいよ
シェエラザード作曲 若き王子と王女
井上陽水  少年時代


次々と素晴らしい音色が小屋の中を駆け巡っていった
Mさんの、その風体からは到底想像もできないほど(失礼w)
繊細で美しいメロディに、居合わせたみんなは心奪われていたに違いないだろう





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夢見心地のままお茶会はお開きとなり
それぞれ寝床へと帰っていく


私たちも寝る準備を終え
ふかふかな布団へと潜り込む
寝不足なのも手伝い
目を瞑るとたちまち夢の世界へと導かれていった










by mt_kawamin | 2016-09-18 19:00 | 山登り | Comments(2)
Commented by ゆず at 2016-09-19 09:12 x
かわみんさんこんにちは~♪

とても素敵な山小屋ですね!
ここにたどり着くまでの道程がとても大変そうですけどついた時のホッと感は想像するだけで嬉しくなります(^^♪

タルチョをまとった小屋の姿も小屋の方の笑顔をなにもかも素敵ですね♡

かわみんさんが高山病というのも意外ですけど、そんなに重くなくて良かったですね。

私もまだ高山病にはなったことないけどいつなるかわからないから心構えはしておかなくちゃですね。

続きを楽しみにしています(*^_^*)
Commented by mt_kawamin at 2016-09-19 19:16
*ゆずさん♪


そうなんです!とっても素敵な小屋でしょう?
でもね、私の拙い言葉では到底伝えられないほど
素晴らしい小屋です。

登山口から小屋までの標高差1400mといい
急登続きのトレイルといい
だからこそ、天空の宿と言われるような環境にあるんですよね
雲海の上にぽっかり浮くように見えた時には
震えちゃいましたよ(笑)

青空の下でも真っ白な空の下でも
五色のタルチョがたなびく小屋は本当に可愛らしい
小屋番さんの笑顔もとっても素敵でしょう?
可愛かった❤︎

ところで
高山病だけど・・・
そう、珍しいでしょ?こんなの初めて。
元々、寝不足で歩き出すと貧血にはなったりするんだけど
二日酔いみたいな気持ち悪さで
どうにもできなくて困りました。

登ってくる途中で眠くて眠くて
30分程寝かせてもらったんだけれど
それが悪かったのかも?って話をしてました。
体調もよくなかったのかもね(´・_・`;)

北岳の診療所の医師は
夜勤明けでそのまま北岳へ来ることが何度もあったらしいんだけど
何度登ってる北岳でも、何回かは高山病になったことがあるって言ってました。
高山病になりにくい人でも体調によっては・・・
と仰ってたので、水分補給も睡眠も大事だな〜
って改めて思いましたよ♪

続き、UPしました〜
あんまり面白くない文章だけどっww

おまちしておりまーす(*´ー`*)ノ