オキの耳の山頂直下から
一ノ倉へと向かう稜線上には
ここをお昼の目的地にしていたのか
ズラッと並んで大勢の方が休憩中。
前を失礼・・・
これからわたしたち、静かな山歩きをすることろなんです
と言わんばかりに
颯爽と一ノ倉へ向かって歩き出す。
それはちょっぴり優越感にも似て
そして誇らしさにも似て。
富士浅間神社 奥の院の脇を通り過ぎ
鎖場を下り
稜線を歩いていく。
一ノ倉
世界的にこれほど有名な壁は
他にないだろう
魔の山
なんて不名誉?な異名を持つ山
上から覗くと黒い岩と
灰色の雲海が広がり
ギザギザな鋭い尾根を持っていて
雲海に邪魔をされ
その高度感こそわからないけれど
険しい壁がそこにあるのは容易に想像できる
そんな異名なんてどこ吹く風…
その壁に、崖の際に咲く花たちの美しいこと
自然の中で生きる植物にとっては魔の山ではなく
楽園なのかもしれない。
稜線を分けて東側は険しい岩肌と切れ落ちる崖西側は緑の美しい山肌がなだらかに裾を引く
その様子を楽しみながら進むと一ノ倉岳山頂へ
pm1:45 一ノ倉岳
一ノ倉岳山頂には赤いかまぼこ型の避難小屋があるそれは3人も入れば満員になりそうな背の低い小さな避難小屋だった。その形と大きさでこの地の気象条件が厳しいことを理解するのは容易い
一ノ倉岳山頂からは
それまでの険しい山容とは打って変わり
緑と花の溢れる広い尾根のトレイルが待っていた。
武能岳へ下る斜面には
少し盛りを過ぎた日光黄菅が
その黄色い花を咲かせていた。
「明日は向こうへおりていくよ」
その先にはどんなトレイルが待っているんだろう
今はまだその姿を垣間見ることは出来なかったけれど。
さぁ、避難小屋まであと少しだ
茂倉岳から土樽方面へと
狭いトレイルを花を掻き分けながら下って行く
pm 2:46 茂倉岳避難小屋
避難小屋に一番乗り
窓際の明るい特等席を陣取ったら荷物を置いて5分ほど下った水場へ。
水量が今年は少ない。とshoさんそれでもプラティパスにいっぱいの水を汲み手と顔を洗ってさっぱり。
さぁ、小屋に戻ったらお疲れ様の乾杯だね
担ぎ上げてきたビールで
お疲れさま!
shoさんが作ってきてくれた「野沢菜とジャコの胡麻油炒め」私が持ってきただけのとkiriクリームチーズ&グリッシーニをあてに。キンキンに冷えたビールが五臓六腑に染み渡る。
ビールを飲み終わったと思ったらshoさん、やおらロックグラスとテルモスを取り出したロックグラスだけでも驚きなのに『この暑いのになんでテルモス?』とザックのサイドポケットに入っていたテルモスを不思議に思っていたけれどその中にはロックアイスが…
うぅぅん…さすが、できる男はやることが違うセンスのいい男はここまで拘るのだ。
kiriのクリームチーズを買ったまま何の捻りもなくおもむろに出す私とは訳が違う。
こんなシャレオツな拘りを目の当たりにして私はすっかり夢見心地。
いえ…完全に寝不足と酒で意識朦朧。お昼寝させてください…zzz
それから小一時間ほど寝たんだろうかきっとshoさんは『おぃおぃ、まだ寝る気?夕飯のメイン、君が担当だよね?』なんてことは微塵も思って無かっただろう。多分。。。
そろそろ夕飯の準備する?
と優しく起こされshoさんはアテのソーセージを焼いてくれわたしは夕飯の準備を。
今夜のメニューは鰻丼。日本酒で蒸してタレをかけて頂く。。。のだが…どこを探しても日本酒とタレが見当たらない
食べてる時まで
「おかしいなぁ・・・絶対入れたのにぃ…」
と、わたくし。あぁ…出来る男と出来ない詰めの甘い女の違いをまざまざと見せられ次回こそ完璧に!と心に誓う私であった…。
あてな夜はまだまだこれから…
少しづつ小屋の中も暗くなる頃取り出して灯してくれたのはガスランタン静かに炎がゆらゆらと揺れる。
お酒をバーボンのオンザロックに代えて。
避難小屋泊が初めてなわたしだった。
どんなところなんだろう?
と少しだけ不安もあったのに噂通りの綺麗な避難小屋にそして、小屋で素敵に過ごすためのアイテムをたくさん用意してくれてアテもお酒もご飯も美味しくて
楽しい時間はゆっくり流れて…。
明日はどんな一日が待っているんだろう
am 4:00 起床
外を覗くと山は白いヴェールをかぶったままだった。
ご来光を茂倉山頂で拝む予定だったがそれが叶わないのなら・・・と朝はゆっくりすることに。
胡桃とドライフルーツのパンにチーズとハムとリーフレタスを挟んだだけの簡単なサンドイッチと珈琲で。
パッキングを済ませ簡単に箒でお掃除をし心許りの使用料をポストに入れて。
お世話になりました。
晴れたらいいな
朝露に濡れる花のトレイルへ
part 4へつづく…。*:゚