白い世界〜唐松岳 - 後編 -
中央右側には白き頂の剱岳が。
前編は→ こちらから
2015.3.8 ( 日 )
丸山ケルンから・・・。
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丸山ケルンからはそう遠く無い山頂なのに
まだまだ辺りはガスに包まれたままだ。
あと少しあと少し
広い稜線から細い稜線へ変わっていく
見える頂の向こう側に辿り着けば
唐松岳頂上山荘が左手に。
その分岐を左に見ながら山頂へ行くには
真っ直ぐ一旦下って登り返す。
頂上山荘からのトレイルと合流すると
山頂は近い。
いよいよ最後の急登だ
急登へ取り付く手前で山友が
「雷鳥がいる」
と囁く。
指差す方には
真っ白な綿毛の雷鳥が。
逃げる風でもなく、気にする風でもない。
雷鳥にすればいつもの暮らし通りなんだろう
雷鳥に会う直前まで
一瞬でも晴れたらいいな。と思いながら歩いてきた。
でも吹く風は微風で雲を飛ばす勢いは全くない。
厚い雲が切れることはないだろうな
と晴天は諦めていた。正直テンションは低かった。
でも
雷鳥に逢えた途端やたら元気になる。
もう晴れなくてもいいや〜♪
とまで思ってしまう。
さすが山のアイドル。
雷鳥の影響力ったら素晴らしい。
さて 雷鳥に別れを告げるとあと一登り
山頂はもう目の前だ。
足取りも軽やかに登っていく
急登を歩き始めると
さっきまでほとんんどなかった風がそよぐ。
見上げると雲が流れ出す
それはゆっくりと
まるで大河の流れのように。
歩く雪面に影が伸びる。
きっと晴れる。
きっとガスは切れる。
白い雲は風に乗り
ゆっくりゆっくり流れ
刷毛で描いたような青い空が
広がっていく
10:46 唐松岳 登頂
ここへ辿りつくまで
何も見えなかった
黙々と登ってきた事へのご褒美が待っていた
碧い空と白い雲のリレー
一瞬も気の抜けないレース
そんなスライドショーをみているようだった。
水色の空から青空。そして紺碧の空へ
これほど美しい碧い色ってあるだろうか。
そして山頂へ居合わせた皆んなが歓喜の声を上げる
だって見つめる先には真っ白な衣に身を包んだ剱岳が。
かっこ良すぎるでしょう?
気づけば山頂には30分以上もいた
だって景色はこの上なく美しく
しかも
風はほとんどなく寒さを感じない程だったのだから。
まだまだ撮りたい写真はいっぱい
まだまだ愛しい山を眺めていたい。
けどキリがない。
このままだと夜まで居座ってしまいそうだから。
帰りの電車の時間は決まっているのだ
もう時間いっぱい
下山しなければ。
後ろ髪引かれつつ
剱に五竜に、見えない白馬三山に別れを告げ下山。
気温が上がってきてたからか
下れば下るほど又辺りは真っ白
真っ白ならば景色を堪能することもないとばかりに
サクサクモフモフバフバフさせながら一気に下っていく
アイゼンに付く 団子状の雪の塊がひどくて
歯が効かず転ぶこと数回。
上の樺を過ぎたところでアイゼンを外したけれど
途中、ちょっと怖かったなぁ。と外した事を後悔。
八方池ケルンまで下りてくると
また少しづつ青空が見え始める
そして冷たかった周りの空気も一気にかわり
気温が上がってきたことを知る。
つまり・・・
それは麓が近くなってきたということ。
振り返ると
もうそこには優しい丸い斜面が見えるだけ
とうとう下りてきちゃったな
遠くに見える青空は優しく
それはもう春の空だった
これで厳冬期の雪山シーズンは終わりなんだろうと思うと
なんだかとても寂しい思いでいっぱいになる。
初めての後立山の山、唐松岳。
八方へ着いた日は晴れのち曇り後雪
唐松岳へ向かっている時は眺望無しの真っ白な世界
ちょっぴり残念な気持ちでずっと歩いていたけれど
強風で有名な稜線歩きは
後立山が初めてな私に優しくほぼ無風
真っ白い雷鳥にも逢わせてくれた。
そしてその頂に立った時には
憧れの君 真っ白い剱岳まで逢わせてくれた
出来過ぎの山行にワッショイ♪
Thank you 唐松岳
最後に・・・
Love 剱岳
photo by Ko...
おしまい
by mt_kawamin
| 2015-04-12 20:00
| 山登り